普段、あまり医療的な立場から脅かすような文章は書かないように意識をしていますが、やはりこれは書かずにはいられません。
2016年の国民健康・栄養調査から、糖尿病が強く疑われる患者数が1,000万人に上ったことがわかりました。
以下、2017年9月22日日本経済新聞朝刊より、一部抜粋します。
「糖尿病患者は、推計を始めた1997年の690万人から右肩上がりで推移している。有病率の高い高齢化人口の増加とともに、運動不足や食生活の乱れなどで肥満が増えているのが原因とみられる。」
糖尿病は、1型糖尿病を除き、ある日突然発症するものではありません。
肥満を指摘されていたり、ヘモグロビンA1cの数値以上を指摘されていたり、血糖値異常を指摘されていたりと、カラダからのSOSサインに対して、根本的原因追求と、それに対する意識・行動変容をしてこなかった「習慣の積み重ね」によります。
糖尿病になったからといっても悲観することはなく、食事と運動を掛け合わせ、趣味や仕事を楽しみながら人生を過ごす患者さんもたくさんいらっしゃいます。
ですが、糖尿病という診断・病気に対して「真剣に向き合うこと」を選択しなかった場合、数年後の人生は、もっと高度な医療を必要とし、それにかける時間・労力・精神力を用意する必要があります。糖尿病を指摘されて放置してきていたり、もしくは糖尿病歴の長い方だと、腎不全となり、人工透析が必要をなるケースが多くなります。
人工透析は、週に2-3回、病院に通う必要があり、自分の自由な時間か、仕事の時間のいずれかは治療のために使用することになります。
もちろん、人工透析が必要になる方は、糖尿病が原因の方ばかりではありませんし、人工透析中も読書や編み物、パソコンを広げてバリバリお仕事をされる方もいらっしゃれば、透析時間を睡眠時間に当てる方もいらっしゃいますから、透析時間を「有効」と思うか、「犠牲」と思うかは、個人の価値観によると思います。
しかしながら、医療に携わらせてもらった経験のあるいち看護師が感じた「経験上」のものからすると、糖尿病を放置したが故に、つまり自分の体や現状と向き合ってくることができなかった患者さんの多くは、やはり人工透析や人工透析が必要となった生活と向き合うことができずにいる傾向が強いかなと。
人は、気づいた時から意識も行動も飛躍的に変化していくもので、いざ人工透析が必要になった時から、真剣に自分と向き合うようになる方もいらっしゃいます。
ただ、その「真剣に向き合うこと」があと数年早かったら・・・。そんな思いも何度となく経験してきたことは事実です。
今回のこの調査結果をみて感じたことは、有識者の啓蒙活動は必須、だということ。肥満にある人に、それを放置したらどうなるのか、脅すのではなく「事実」をしっかり受け止められるよう啓蒙できる場所が増えることは必要でしょう。
美食脳でできること。
それは、「事実」をしっかり知識として一人一人に持ってもらうこと。
そんな、自分のカラダと向き合える人が増えていったら、そもそも太らないで済むし、太らないならダイエットは不要になるし、いい食生活を提供できるなら、それを食べる家族もまるっと健康になる。
こんな簡単なサイクルづくりに、時間をかけたくありませんね。
わたし達にできること、もっともっと加速していきたいと思った今日でした。
《日本美食脳アカデミー協会代表理事 高久恵美子》